混雑緩和への提言Peter’s Viewpoint #41

【前半】混雑緩和への提言

5/21付け電気新聞記事「同時市場、ローカル系統と協調へ/経産省、DER活用を提起」に一言!

新聞記事の要約を読む

本件には多くの要素が絡み合っているので、個別に解説していきたい。

1.混雑緩和と系統管理のための一般送配電事業者(一送)によるDER活用

まず第一に、特高需要家のビハインド・ザ・メーター*1からDERを利用するというコンセプトは、日本では目新しいものではないが、現状では適切に機能していない。DERは現在、発動指令電源としてDRスキームを通じて容量市場に入札できる。しかし、残念ながらこれは需要家とDRアグリゲーターの双方にとって経済的メリットが限定的で、うまく機能していない。 DERとDRは、需給調整市場においてより有益となるだろう。

さらに、DERを一送の混雑管理に使用すると、混雑が発生しているところのDERのみが価値を持つことになる。 私は、混雑緩和におけるより大きな問題は、ノーダル制または類似の市場構造を欠いていることだと考える。

数年前、我々は広域機関にノーダル制市場の導入を提案したことがある。 フィラデルフィアのPJMで開催されたワークショップに、経済産業省、広域機関、大手電力会社の幹部を多数招いた。 当時、日本からの参加者の大半は混雑管理に問題はないと主張し、今後も発生するとは考えていなかった。

それ以来、私たちは当初の案に手を加え、一送の各供給エリア内にサブゾーンを設ける、簡易的なノーダル制市場システムを提案してきた。 サブゾーンはおおまかに都道府県ごとに分かれており、一つのサブゾーンには各都道府県内にある全ての変電所、需要家、DERなどが含まれる。各変電所が取引ポイントとなる真正のノーダル方式の複雑性と比較しても、サブゾーン方式ははるかにシンプルなものだろう。

*1 電力メーターの後ろ側に設置されるオンサイトの自家発電設備・蓄電池等

2.ビハインド・ザ・メーター/太陽光発電の逆潮流

逆潮流、いわゆるネットメータリングは、私の意見では意味をなしていない。グリッド規模の太陽光発電は既に余剰電力を生み出しており、午後のJEPX市場ではほぼゼロに近い値になっているからだ。 逆潮流によって送電網への供給量を更に増やせば、グリッド規模の太陽光発電のさらなる出力抑制につながる可能性がある。

3.私ならどうするか?

今後、バッテリー(BESS)の設置量が急増すれば、この状況はある程度は改善するだろう。 加えて、DER・DR電源がより自由に需給調整市場へ入札できるような環境を整える。 そうすれば、比較的早くに混雑が緩和され、価格シグナルが送られることでDERやBESSの導入が促進されるはずだ。

今後、再エネPPAを締結する企業が増え、需要家の需給調整のためにバッテリーやオンサイトDER、DRが必要になった時、これらの環境整備が非常に役立ち、延いては一送の負担も軽減されることになるだろう。

最後になるが、忘れてはならないことがある。小売事業者が需要家の前日需要をより正確に予測できるようにする試みは、世界中の小売市場で行われてきた。しかし私が知る限り、明日の天候を30分単位でコントロールできる者は今のところ現れていない。

後半に続く。

本シリーズは、業界30年以上の経験を有するスキッピングストーン会長兼CEOのピーター・ウェイガンドによるエネルギー時事コラムです。

スキッピングストーンでは、海外の自由化先行市場で培った知見を基に、電力リスク管理、2024年以降のエネルギー市場動向、システム選定のノウハウ等のホワイトペーパーを作成し、無料で配布しています。ホワイトペーパーページはこちら

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