電力会社の旧態依然の利益管理を斬るPeter’s Viewpoint #1

電力会社の旧態依然の利益管理を斬る

自由化以来この数年間、大手電力の財務はまるでヨーヨーのように揺れており、その理由の多くは、自由化前に作成された燃料費調整(FCA)の方法論にあると私は考える。 当初のFCAの目的は、輸入化石燃料コストの変動に対する物理的ヘッジとして使用することであり、それは自由化まではうまく機能していた。
他の自由化市場では、FCAモデルは使われていない。 その代わり、発電は小売とは別の損益計算書を用いており、市場(金融取引、相対取引等)を利用して燃料費をヘッジし、利益を固定することが奨励されている。 日本では、電力会社の業績はFCAに大きく左右されるため、コストをコントロールし利益を管理するための他の市場手法の利用が否定され、自由化以前と同じ行動が奨励されている。
さらに日本の電力会社は、価格リスクをすべて顧客に転嫁するタイプの市場連動型の価格設定を採用することで、コストとマージンの管理から更に遠ざかっている。
米国ではテキサス市場において、卸売価格の劇的な上昇によりあらゆる層の顧客が記録的なエネルギー価格高騰に見舞われ、完全価格転嫁型の市場連動型プライシングが招きうる最悪の事態を目の当たりにした。これは政治的な悪夢となり、世論の大きな反発と数十億ドルの損害賠償を招いた。現在、テキサス州では完全価格転嫁型の市場連動価格設定は違法となっている。

本シリーズは、業界30年以上の経験を有するスキッピングストーン会長兼CEOのピーター・ウェイガンドによるエネルギー時事コラムです。

自由化先進市場で採用されている市場連動型プライシングについて解説する弊社ウェビナー動画はこちらから。ホワイトペーパーページからは、本ウェビナーの資料もダウンロードいただけます。

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