Peter’s Viewpoint #18
海底直流送電プロジェクトへの投資
11/21付け電気新聞記事「海底直流送電、コスト上振れに対応/エネ庁、想定費⽤を明⽂化」に一言👇
この送電網への投資を行う特別目的会社(SPC)のモデルは、米国市場における民間送電会社とやや類似している。SPCへの参加に関心を示す企業が現れるか、投資資金に対する期待ROIがどの程度になるかは、まだ分からない。
今年の初め、私はこのアイデアについて規制当局関係者と何度か話し合い、ウォールストリートの非常に大きなインフラファンドが関心を示す可能性が高いと示唆した。これらのインフラファンドは、託送料金などの規制・監督が日本とよく似た米国及び欧州の送電・パイプラインプロジェクトに投資している。
私が受けた印象では、規制当局関係者はこれらのプロジェクトROIは2~3%程度と見込んでいるようだった。他の市場で同様のプロジェクトにいくつか関わった経験から、インフラファンドの最低ROIハードルは10%の傾向にある。20年間の投資であり、収益(託送関連等)が保証されていないというリスクを考えると、理にかなった数値といえよう。
北海道-本州間連系のためのSPCに投資する企業が現れるのか、また、経済産業省が妥当と考えるROIがどの程度になるのか、興味深いところである。
本シリーズは、業界30年以上の経験を有するスキッピングストーン会長兼CEOのピーター・ウェイガンドによるエネルギー時事コラムです。
スキッピングストーンは、小売、卸売、トレーディング、発電、送配電、再エネ等さまざまな事業者の海外自由化先進市場におけるケース紹介(成功・失敗事例等)を行っています。米国市場の政治的・経済的見通し、パフォーマンス評価用ベンチマークや調査レポート等にも実績がございます。