市場健全化への提言Peter’s Viewpoint #29

市場健全化への提言

容量市場、スポット市場、時間前市場、および需給調整市場が個別に運営されている日本のモデルは、扱いにくく非効率的であることが常であった。このような設計の市場は世界でも他に類を見ない。

理想的な構造は、これらすべてを1つの市場運営者、おそらくはOCCTOの下に置くことだろう。私は何年も前にJEPXをOCCTOの下に置くか、あるいは両者を統合するよう働きかけた。当時、「それは不可能だ」と何度か言われたため、私はこの件に関する働きかけを諦めた。

需給調整市場については、欧州モデルのように、実際に調整された電力量に対しても取引を可能にするなど、調整力確保に対するインセンティブを付加するのがより健全だと思う。これにより、この分野での取引に慣れている海外トレーダーがさらに多く参入するだろう。現にこれまで、日本市場に関心を寄せていた欧州トレーダーが数社あったが、現在の需給調整市場の仕組みを理由に参入を断念した。トレーダーが増えれば、卸売市場の流動性が高まり、ひいては小売事業者とその需要家にも恩恵をもたらす。

本シリーズは、業界30年以上の経験を有するスキッピングストーン会長兼CEOのピーター・ウェイガンドによるエネルギー時事コラムです。

スキッピングストーンでは、海外の自由化先行市場で培った知見を基に、電力リスク管理、2024年以降のエネルギー市場動向、システム選定のノウハウ等のホワイトペーパーを作成し、無料で配布しています。ホワイトペーパーページはこちら

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