スマートメーターが左右する真のネットゼロPeter’s Viewpoint #8

スマートメーターが左右する真のネットゼロ

真にネットゼロを達成するためには、送配電網への需要家参加をより深いレベルで実現する必要がある。欧米で普及し始めているビハインド・ザ・メーター*1型太陽光発電のネットメータリング*2と同様、デマンドレスポンスの取り組みは良いスタートと言える。しかし、需要家と送配電網の間でよりきめ細かな時間単位(分単位)での双方向のやり取りが必要になってくるだろう。

顧客需要ソリューションや系統運用ソリューションを提供する企業は数多くあるが、きめ細かな双方向連携が進まない理由のひとつは、メーターの管理である。日本でも米国と同様、大手電力が需要家のメーターを所有・管理している。かつての独占市場では、これは非常にうまく機能した。

しかし、ネットゼロを目指す自由化市場では、大手電力だけでなく様々なソリューションプロバイダによるメーターの活用がカギを握る。大手電力が提供する使用量データ以上の情報へのアクセスが可能となれば、これらの企業は革新的なソリューションを実装できるようになり、ネットゼロの加速に一役買うはずだ。

*1 電力メーターの後ろ側に設置されるオンサイトの自家発電設備・蓄電池等
*2 分散型発電設備の所有者が、電力消費量を発電量で相殺できる仕組み。例えば、住宅用太陽光発電で電力消費量を差し引いて余剰電力量が発生した場合、その余剰分を翌月に繰り越せる

本シリーズは、業界30年以上の経験を有するスキッピングストーン会長兼CEOのピーター・ウェイガンドによるエネルギー時事コラムです。

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