日本の特異な市場構造Peter’s Viewpoint #13

インバランス料金見直しの議論が示唆する構造的課題

有識者会合の参加者、監視委、大手電力、小売事業者によるインバランス料金に対するさまざまな意見を読んだ限りでは、上限を200円に設定するか、あるいは600円まで引き上げるかという議論は、スポット市場や時間前市場といった現物市場全体においてインバランス制度をどう位置付けるかという大局的な視点を見失っているように思われる。

市場時間中の流動性の欠如や価格の不透明性は問題だ。
日本における需給調整市場は元々、一般送配電事業者が系統のバランスを取るために柔軟性を与える手段として導入されたようだが、他国の自由化市場にあるような実用的なバランシング市場が日本にはないため、その本来の目的が小売事業者やトレーダーの参画・発言に影響されている。一般送配電事業者とトレーダー(小売事業者を含む)の目的は一致していないが、一致させるのは不可能ではない。

私は、一部の人々が提案しているように、スポット市場、時間前市場、需給調整市場、容量市場、及びアンシラリー市場を1つの組織の管理下に統合することに賛成する。仮に実現するならば、この組織はOCCTOになるだろう。長年この統合案を提唱してきたが、実現する可能性が低いことは明らかだ。結果として、日本の卸電力市場は最適化が非常に難しくなり、今後も不当に不安定な状態が続くことだろう。

本シリーズは、業界30年以上の経験を有するスキッピングストーン会長兼CEOのピーター・ウェイガンドによるエネルギー時事コラムです。

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