Peter’s Viewpoint #21
原子力活用への道筋
12/18付け電気新聞記事「第7次エネ基、原子力の活用鮮明に/エネ庁が原案、他サイトへ建替容認」に一言👇
2040年電源構成見通しにおける原子力の20%は、福島原発事故前の電力供給量の30%を下回ってはいるが、現在の供給量の10%未満をはるかに上回る。20%という目標は新しい計画でも変わっておらず、特定の規則の緩和が役立つ可能性はあるが、今後6年間で本当に供給量を倍増させるには不十分と思われる。
過去約4年間で、原子力に対する政府の姿勢は否定的から肯定的なものへと変化した。おそらく、原子力発電所が稼働していないことによる供給不足やスポット市場価格の高騰、或いは脱炭素法がその変化を促したのだろう。しかし、この変化をもってしても、原子力規制委員会が厳格なガイドラインに固執しているため、原子炉の再稼働は遅々として進んでいない。
政府目標と規制委ガイドライン間のこうした緊張関係を考えると、今後6年で20%の目標を達成するのは難しい。その期間内に新しい原子炉が建設され、稼働する可能性も低いだろう。そして、規制委がガイドラインを緩和し、既存の原子力発電所の10%以上が再稼働できるかも疑わしい。
データセンターや半導体製造による需要の伸びが見込まれる中、原子力目標の20%は、脱炭素目標を達成しつつ需要を満たすのに十分だろうか?信頼性が高いクリーン電力を大量に必要とする国内データセンターは、米国の同業者のように原子力発電と手を組み合うのだろうか?
誤解しないでほしいが、私は原子力発電の推進派だ。ただ、原子力発電を推進するための規則と、場合によっては補助金も、もっと積極的にする必要があると考える。私の懸念は、規制当局が2040年までに電力供給の40~50%を再生可能エネルギーに依存しようとしていることだ。素晴らしい目標ではあるが、この目標も、送電網への多額かつ早急な投資が行われなければ危ういだろう。
本シリーズは、業界30年以上の経験を有するスキッピングストーン会長兼CEOのピーター・ウェイガンドによるエネルギー時事コラムです。
スキッピングストーンは、小売、卸売、トレーディング、発電、送配電、再エネ等さまざまな事業者の海外自由化先進市場におけるケース紹介(成功・失敗事例等)を行っています。米国市場の政治的・経済的見通し、パフォーマンス評価用ベンチマークや調査レポート等にも実績がございます。市場調査(国内・海外)はこちら