再エネ開発のリスク管理に見る日本の特異性Peter’s Viewpoint #40

再エネ開発のリスク管理に見る日本の特異性

このニュースについて、いくつかの見解を示そう。日本市場での観察に基づくものと、グローバルな視点に基づくものがある。

グローバルな視点から見ると、日本で「記録的」と取り上げられる撤退件数は、米国や欧州などの海外市場では話題にも上らない水準である。これら海外市場では、企業が高いリターンを求めて開発リスクを取り、リターンが得られなければ失敗するのははるかに一般的なことだ。開発、特に再エネやEV充電、その他エネルギー転換戦略におけるリスクテイクは、常に少数の勝者と多数の敗者をもたらし、それが当たり前のこととして受け入れられている。これは日本でも何ら変わりはないものの、日本ではリスクテイクに対する許容度が低く、初期段階でリスクを取る意思のある企業が少ないという点が異なる。

日本市場の観点からすると、FITからFIPへの移行は非常に理にかなっている。FITモデルが、経済産業省で全ての価格を設定し、大手電力に全量購入を義務付ける閉鎖ループであるのに対し、FIPモデルははるかに自由市場モデルに近い。FITモデルは単純に持続可能的ではないし、脱炭素法においては、企業が要求される温室効果ガス削減の要件をFITが満たす可能性は非常に低い。

日本市場におけるもう一つの注目すべき点は、太陽光発電からBESS(蓄電池)開発への転換を試みているデベロッパーの存在だ。 私たちが海外投資家のためにBESS用地を探しているここ数ヶ月の間に、最小限のリスクで販売用地を作ろうとしている多くの小規模デベロッパーに出会った。 例えば、デベロッパーは土地を見つけ、その土地の契約すらせずに、接続申請を一般送配電事業者(以下「一送」)に提出する。一送が回答書を送って運用開始までの工程表や系統接続の費用とその支払期限を提示する。デベロッパーは、一送の回答から12ヵ月以内に少額の保証金手続きと契約申し込みを行い、契約条件を固定する。デベロッパーがこの最小限の作業を行うのにかかるコストはかなり小さいが、我々が話を聞いた限りでは、多くのデベロッパーがこの保証金を支払いたがらないか、支払うことができない。そこで彼らはBESS用地を探している投資家にこの土地を販売しようとする。 これまでのところ、この種のBESSデベロッパー(実際には土地ブローカーに近い)の存在を20社以上見聞きしている。 このような用地取引のほとんどは海外投資家の基準に満たないため、私の予想では、その多くが市場から撤退することになるだろう。

本シリーズは、業界30年以上の経験を有するスキッピングストーン会長兼CEOのピーター・ウェイガンドによるエネルギー時事コラムです。

スキッピングストーンは、小売、卸売、トレーディング、発電、送配電、再エネ等さまざまな事業者の海外自由化先進市場におけるケース紹介(成功・失敗事例等)を行っています。米国市場の政治的・経済的見通し、パフォーマンス評価用ベンチマークや調査レポート等にも実績がございます。市場調査(国内・海外)はこちら

ホワイトペーパーページからは、各種資料も無料でダウンロードいただけます。

タグ:

人気の記事: